俺のひとり言

だたの独り言です。中には有益な情報もあるかもしれません。

デザインモデル製作 塗装の世界へ(後編の前編?)

前回の続き・・・

oly4402yoko.com

量産部署は、1週間で終わり・・・モックアップ(本物に似た模型)の塗装を行って
いる部署へ異動となった。
※ゴリゴリの50代職人に囲まり、直ぐに辞めてしまうと思ったらしい。部長ありがとう・・・

初対面

調色(色を作り出す)


まず紹介されたのは、Mさん(男)という外国人(バリ島出身)の方。とても、流暢に日本語を話す。また、雰囲気もとても優しそうだ。次に、MDさん(女) 調色を担当しておりしっかりしてそうな方だった。このペアで調色をしており、Mさんに至っては業界でも有名な方のようだ。(おそらく業界も狭い)

そう、このMさんこそ私を鍛え育て塗装の世界にのめり込ませてくれた人なのだ。

塗装職人

そして、塗装職人が5名・・・20代前半 イケイケのYちゃん(男)/20代後半
旧車好きでこちらもイケイケのお姉さん Aさん(女)/70代前半 この道30年以上の生きる伝説 IKさん(男)/40代前半 割と無口 Sさん(男)/50代後半こちらもこの道30年くらいのベテラン OKさん

尊敬する方たちばかりで、個性も豊である。

Yちゃん・・・昭和のヤ〇キーのような見た目・・・(年下なのに)仕事はとても繊細でホープである。

Aさん・・・・こちらもイケイケな感じ。私の印象相当な負けず嫌いで、難しい仕事も自分が出来ないのが許せず、果敢に挑戦する。

IKさん・・・・まさにTHE 職人である。言うまでもなく腕は確かで、みなIK道場の門下生である。

Sさん・・・・無口なので一見怖そうだが、話すと気さく。腕は、大物を得意とし、豪快。。

OKさん・・・・Mさんと似た天才肌のもはや芸術家。塗装はゴミ・塵が天敵なのだが、洋服を着ているとどうしても繊維等が付着するためこの方が行きついたのは・・裸になる事であった。この方に頂いた絵を一部公開したい。

なんじゃこりゃ???芸術である。(骨白に書かれた物)

モックアップの世界(かなりニッチな世界)

約4年半お世話になった業界。私の知りえた情報をみなさんに紹介したい。

仕事の流れ

注) 約15年程前の話なので現在違っていても多めに見てください。

まず、お客さんとなる相手方は主に家電・時計・車・バイク・音楽系・AV機器
ジェット機・化粧品等のメーカーだ。

それぞれのメーカーに営業担当がおり、依頼を受注してくる。パターンはいくつかある。

  • モックアップを一から作りこむタイプ(樹脂を製品さながらの形に削る所~)
  • 現在販売されているサンプル品を上から塗るだけのタイプ
  • メーカーのデザイナーがきて調色から立ち合いをするタイプ

※この他にも、各工程を通す・通さないでも変わる
※特に立ち合いは長い時で5・6時間色だし(調色)をするのできつい・・・

各工程とその役割をざっくりと

各工程の話をしていきたい。

①CAD・CAM

図面をもとに樹脂やアクリル等を専用の機械で削り、製品さながらの形にする部署。ここではきりっぱなし状態。機械とはいえ、人によって良し悪しがあるらしい

②仕上げ

ここでは、職人の方たちが切りっぱなした樹脂等を主に手作業でサンドペーパーを使い整える。マシンで削った削り目を研いで塗装後に削り目が出ないようにしたり。各パーツを接着剤で組み合わせる事もする。
※ここでの腕しだいで塗装後の仕上がりが大変変わる。

③塗装

私がいた部署になり、大きく分けて調色と塗装がある。後、製品を解体して塗装後に組み立てる事もしていた。

調色:様々な色を混ぜて、デザイナーがイメージする色を創りだす。まさに色の魔術師だ。この色出しの早さがMさんの真骨頂であった。それを支えるMDさんもマメで周りからの信頼もあつかった。デザイナーとの色だし立ち合いは写真のような紙に塗ったり、実際のサンプルに塗って行う。

※「OK」と書かれているのでこの色で進めたのだろう。指の跡がある。。


塗装、名前の通り塗装を行うのだがみなさんはどのようなイメージをお持ちだろうか?大きな物を塗るイメージではないだろうか?車板金塗装、家の塗装等。それとは違う。小さい物では、電動歯ブラシ・化粧品の蓋、携帯電話、キーボードのボタン等。大きな物では車のバンパー、冷蔵庫、エアコン、車のホイール等である。ただ、塗るだけではなく・・


仕上げからきた樹脂に下地をいれる→ライトで乾かす→また下地をいれる→乾かす→また下地をいれる→乾かす→サンドペーパで研ぐ(350番から始まり2000番・3000番?まで)→塗装する→乾かす→研ぐ→塗装する→乾かす→研ぐ→塗装する→乾かす→専用の研磨剤で磨く


ざっくりだが光沢に仕上げるならこのような形だ。艶消しに仕上げるなら半分以下の工程ですむ。5名はこれを1人3つ以上同時進行で納期までに終わらせる。「かんばん」に名前を刻むため責任も伴う…
※そのため、営業、前工程、後工程とは常にバトルが繰り広げられている。
※当時、Aさんの逆鱗にふれ出禁になった人もいた。(まだ乾いていないのに触ってしまったのだ)


④シルク印刷

塗装が終わると、場合によるがこの部署で塗装後のモックに印刷する。印刷と言っても機械ではない。全て手なのだ。台にモックを置く→位置を決め固定する→版をセットする→モックと版を印刷位置に合わせる→そして、版に塗料を乗せ・・息をとめていっきに「ズバ」っと…
長嶋さんバリの説明だが事実なのだ。このシルク印刷を終えた後、本物さながらのモックアップとなる。ここで出会うSさん(40代後半)とは窮地の仲で、楽しい事も辛いことも共にした。


⑤アッセンブリ

最後の工程として、シルクまで完了した物を組み立てる。基本は、仕上げの方が相当に神経を使いながら組み立てる。組み立て時にぶつけたり、擦ったりしては塗り直し、作り直しになってしまう。ここで、模型好きの営業がおり40代後半でドスの効いた声のSGさん。この方だけは自分でアッセンブリを行う。塗りすぎで組み立て時にハマらない事は多々あり…そんなときは決まって「あっ!入んねーよ!下手くそが!◯◯こーい!」と呼び出され、こんこんと詰められる…そして、もう一度削り、塗り直す。